ジルコニウム中の原子空孔クラスターの形状
佐々木文子(電力中央研究所)
原子力発電の燃料被覆管に使われているジルコニウム合金中には、中性子照射によって欠陥構造が発達していく。ジルコニウムの原子空孔型の欠陥にはボイドとループがあり、これらの形状の小さなものを分子動力学で再現した。形状と、形成エネルギーについて紹介する。
Si(001)微斜面の通電加熱時でのステップ束の形成と成長則
森 智徳 (金沢大学大学院自然科学研究科)
拡散係数の異方性が異なる2種類のテラスが交互に現れるSi(001)微斜面を通電加熱したときのステップの挙動を一次元ステップ流モデルを用いて調べる。シミュレーション結果と実験の定量的な比較を行った。
スパッタ薄膜形成過程による核生成過程
梶川裕矢 (東大・工)
現在、気相プロセスにおける基板上への核発生によるナノ粒子生成過程に関して多くの研究がなされている。本ポスターでは核生成過程に関する既存の知識を収集し、気相プロセスにおける核生成に関して分かった・分からない部分を明らかにしようと試みる。
アントラセン単結晶の気相成長と物性評価
城 貞晴(山口東京理科大学 基礎工学部)
近年、有機単結晶を創成する手法として気相成長法の有効性が見直され、現在に至るまで10種類程度の成功例が報告されている。本研究では、アントラセン単結晶の気相成長条件確定、モルフォロジーと電気的特性の評価を行った。本結果をもとに議論を行いたい。
ビーム誘起横方向エピタキシを用いたGaAs(111)B基板上の横方向成長
−成長層上面の荒れに対する検討−
齋藤弘智、丸山隆浩、成塚重弥(名城大理工学部材料機能工学科、名城大21世紀COEプログラム「ナノファクトリー」)
我々はビーム誘起横方向エピタキシ(BILE)を用いることによりGaAs(111)B基板上の横方向成長に成功した。成長中の実時間観察により、成長層上面ははじめ平坦に横方向成長するが、その後、荒れが生成することがわかった。今回はこの荒れの原因について検討する。
メサ型パターン基板上でのGeステップフリー表面の作製
松田圭司、丸山隆浩、成塚重弥(名城大理工学部材料機能工学科、名城大21世紀COEプログラム「ナノファクトリー」)
Ge(001)面上にメサ型パターンを作製し、この上にステップフローモード成長を行い,ステップフリーGe表面の作製を試みた。過飽和度の非常に低い状態で成長を行ったところ、表面の一部に1原子層程度のステップが存在しているものの、きわめて平坦な表面を得ることに成功した。
吸着原子の流れと拡散係数の変化による微斜面形態の不安定化
佐藤正英(金沢大学総合メディア基盤センター)
吸着原子の流れとテラス上での拡散係数の変化を取り入れたモデルを用いて,微斜面の形態の不安定化,ステップの蛇行とステップ束の形成について考える.
超音波の音響放射圧による固体ヘリウム4の成長と融解
木村誠一郎 (東京工業大学理工学研究科物性物理専攻 奥田研究室)
固体ヘリウム4は成長・融解が速やかに行われる物質として知られている。本研究では、ヘリウム4単結晶のC‐ファセット近傍微斜面やラフな面に超音波を入射し、結晶を成長・融解させ、その緩和時間τ(結晶成長係数の逆数に比例)を測定した。その結果、結晶成長係数の方位依存性を発見した。また、結晶側から超音波を入射した場合、温度により成長と融解が逆転するという現象も見られている。この逆転温度Tiについても結晶方位依存性が見られている。
異種表面構造が共存する微斜面での蛇行不安定性
加藤 亮 (名古屋大学大学院 理学研究科 物質理学専攻 S研 D3
Si(111)面での 1x1⇔7x7 構造転移をモデルに、ステップの上下段テラスで表面構造が異なる系におけるステップと相境界のダイナミクスについて報告する。昨年までの誤りを改善し、上下段テラスで吸着原子の、@拡散の速さ A密度 に違いがある系での蛇行をそれぞれシミュレーションし、比較検討する。
電界中で作製した酸化銅超微粒子の構造
鈴木仁志 (立命館大学理工学部)
電界を加えながら酸素雰囲気中で銅を蒸発させると、陰極に黄色い粒子、陽極に白い粒子が集まった。この粒子についての構造と振る舞いについて発表予定である。
AFMカンチレバの共振周波数シフトを用いたピコグラム重量変化検出
曾根逸人(群馬大学)
共振させたAFM(原子間力顕微鏡)カンチレバ(片持ち梁)への物質付着による共振周波数の変化を測定してピコグラム重量変化を検出できるシステムを試作した。大気中で湿度変化に伴うカンチレバへの水分子の吸着実験を行ったところ、約2 pg/Hzの検出感度が得られた。本研究は、ピコグラム検出分解能を持つ簡易型バイオセンサの開発を目的としているが、結晶成長のその場観察にも応用したいと考えている。
ヘテロエピタキシャル系の表面の平衡形
上村 英明(名城大学理工学部材料機能工学科)
本研究では、二次元格子モデルを用いて、ヘテロエピタキシャル系の表面の平衡形について調べた。格子の自発応力や格子不整合度の値によっては、表面の形状がStranski-Krastanov型やVolmer-Weber型になることが分かった。
微小重力での惑星間微粒子の核形成実験
小畠秀和a、塚本勝男a、佐藤久夫b、長嶋剣a(a東北大学理学部、b産業技術総合研究所地質調査総合センター)
惑星間微粒子の形成メカニズムを明らかにすることは、太陽系における固体物質の初期進化速度を考える上で重要な課題である。本研究では惑星間粒子として代表的な物質であるforsterite (Mg2SiO4), enstatite
(MgSiO3)を出発物質に用いた蒸発・凝縮実験を行うことで、惑星間微粒子の核形成速度のガス過飽和度依存性を調べた。
ハイパークールド・メルトからのコンドリュール形成その場観察
○長嶋 剣1、塚本 勝男1、佐藤 久夫2、横山 悦郎3(1東北大・理、2産業技術総合研究所、3学習院大計算機センター)
始原的隕石に多量に含まれるコンドリュールの形成条件を調べるため、直径数mmの珪酸塩液滴の急冷凝固実験を行った。その結果、コンドリュールは過冷却度が数百Kにも達する超高過冷却状態(ハイパークールド・メルト)からの結晶化によって形成することがわかった。
RF-MBE法によるInAlGaN四元混晶薄膜の結晶成長
岸本祐子(山口大学VBL)
As an excitation source for
phosphors of white LEDs, the thin layers of InAlGaN quaternary alloy was grown
using RF-MBE method. X-ray diffraction pattern of (0002) face of the layer
indicates the phase separation. However luminescence intensity decreases less
than the other materials (AlGaN, GaN) according to temperature rise.
Structural Control of Silicon Oxide Particles by Oxygen
Partial Pressure in RF Plasma
佐藤岳志(立命大・理工)
テトラエトキシシランをプラズマ中に噴霧することによって、シリケイトを創製した。酸素分圧を制御することによって、シリケイト微粒子の多形を制御できることを見出した。
MgO煙とSiO2煙の合流からのMg2SiO4(Forsterite)粒子の生成
上辻勝也(立命大・理工)
酸素雰囲気中でMgとSiOの粉末を蒸発すると、MgO煙粒子とSiO2煙粒子が生成される。それら二つの煙を蒸発源の近くで合流させる手法(AGEM)で、MgO粒子とSiO2粒子の接合成長によって球状のMg2SiO4粒子が生成できることを示す。これは接合成長を使うと赤色巨星で多く見られるMg2SiO4の生成が容易にできることを示しており、今後の塵生成の重要な指針となるものと思われる。
NiTi 形状記憶合金超微粒子を用いたR-phaseの構造と特性
車田真実(立命大・理工)
フラッシュガス中蒸発法を用いてNi-Ti混合粉末よりNiTi形状記憶合金超微粒子を創製し、高分解能TEM観察及び電顕中加熱を行った。中間相であるR-phase中とNi4Ti3が[211]B2//[101]Ni4Ti3の関係で共析していることがわかった。また通常は100℃程度で高温相に転移するR-phaseが約700℃まで安定に存在することがわかった。
ハイドレート結晶化の前駆現象としての氷の核形成
原囿友輔(東北大学大学院理学研究科地学専攻修士課程1年)
冷却によるTHF水溶液からのTHFハイドレートの結晶化を調べるために、レーザー光散乱像の観察、熱履歴測定の2つの手法を用いた。レーザー光散乱像の観察からは、核形成が水溶液内を1cm/sec.以上の速度で伝播していることがわかった。熱履歴測定では、THFハイドレートの結晶化が始まる時、それに先駆けて氷が核形成し、結晶化までの待ち時間が短くなる場合があることがわかった。
第一原理分子動力学計算を用いた窒化物混晶半導体の組成-混合エネルギー関係
香川祥子(東京農工大学大学院 工学研究科所属)
第一原理分子動力学計算を用いて、窒化物混晶半導体であるInGaN混晶(厚膜)の組成不均一性につて原子・分子レベルで解析する。さらに微細構造を原子スケールで明らかにした。
コンピュータを用いた常圧水素雰囲気下におけるGaAs(111)B面からのAs脱離過程のその場観察
藤野 真理恵 (東京農工大学大学院 工学研究科)
超高真空下におけるGaAs表面では様々な再構成面が現れることが知られているが、常圧H2雰囲気下での表面再構成に関する研究はほとんど行われていない。そこで本研究では、第一原理分子動力学法を用いることにより、常圧H2雰囲気下におけるGaAs(111)B As面からのAs脱離過程と再構成面の形成機構を原子・分子レベルで明らかにした。
Siエピタキシャル技術によるパワーMOSFETの低オン抵抗構造の実現と評価解析技術の課題
岸本大輔((株)富士電機総合研究所)
電力用MOSFETの低オン抵抗化は、省エネ・省資源のために不可欠な課題である。幅数μmの柱状のp・n各領域を繰り返し並べた構造でSiの物性限界を超える低オン抵抗化を図れることが知られているが、この構造をエピタキシャル成長により低コストで製造する技術開発の現状を報告する。
電子顕微鏡中加熱による昇華過程のその場観察
谷垣俊明(立命大・理工)
数十nmサイズの大きさの粒子を、電子顕微鏡中で加熱した結果、およそ200度以上の温度で、粒子がカーボン層で覆われることが知られている(ACCM法)。この加熱によってカーボン層で覆われた粒子をさらに加熱していくと、カーボン層内で粒子が昇華したり、場所によっては凝縮する様子がその場観察された。これまで得られた実験的な結果をまとめて報告し、結晶成長学的に見たときどのような新しいことが見えてくるかについて議論をし、現象を解明し理解を深めたいです。
脂肪酸薄膜上に核形成したリゾチーム結晶の配向、及び配向に対する過飽和度の影響
久保貴資、内山幸昌、水嶌孝彦、本同宏成、中田俊隆(立命館大理工)
ベヘン酸薄膜上に核形成したリゾチーム結晶の配向を原子間力顕微鏡と光学顕微鏡により観察した。リゾチーム結晶の配向は薄膜の表面構造により変化した。さらに、配向している結晶の割合がリゾチーム溶液の過飽和度の減少により増加した。
不凍タンパク質水溶液中で成長する氷結晶の形態と成長速度の測定
野村 耕介(北大・低温研)
不凍タンパク(AFP TypeT)水溶液中で氷結晶を自由成長させ、その形態と成長速度を測定した。c軸方向は、濃度が大きくなるにつれ純水からの成長よりも成長速度が大きくなり、a軸方向もある濃度まではc軸と同様であるが、それを超えるとそれまでとは異なった振る舞いをみせることがわかった。
コラーゲン基質内でのリン酸カルシウム塩の結晶成長
飯島まゆみ*、亀水秀男、若松宣一、足立正徳、土井豊(朝日大学・歯学部)
scaffolding organic matrixとしてのコラーゲン基質の機能的役割を調べることを目的として、ウシのアキレス腱などを用いて、リン酸カルシウム塩の結晶成長実験を行っている。コラーゲン基質内では、基質外よりも格段に小さい結晶が成長し、それらは、コラーゲン線維上にコラーゲン分子の配列の影響を強く受けて成長したことが示唆された。
表面における原子の集団的運動の反応経路と拡散
清水寧(立命館大学)
イリジウム(111)表面におけるアイランド拡散的振る舞いに関するFIMによる 解析を説明するために、複数の原子が同時に動く運動を与える反応経路を数 値的に求めたのでこれについて議論したい。
カーボン−金属混合膜からの結晶成長
木村勇気(立命大・理工)
触媒元素を添加したカーボン薄膜を真空加熱するだけで、ナノダイヤモンドやカーボンナノチューブを容易に作製できる方法を見出した。透過型電子顕微鏡法を用いて、結晶化プロセスからドープした金属の触媒効果を明らかにする。