会長のごあいさつ

日本結晶成長学会第16代会長
佐﨑 元
北海道大学低温科学研究所
2025年4月1日より日本結晶成長学会の会長を仰せつかりました北海道大学低温科学研究所の佐﨑元です。至らぬことが多いと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
日本結晶成長学会は、1974年に創設されて以来51年目を迎えます。日本結晶成長学会の大きな特徴の一つは、極めて幅広い多様性を持つことでしょう。結晶成長学は、物理学や化学、生物学、数学などの理学分野から、電気電子工学、材料工学、化学工学、機械工学などの工学分野に加えて、さらに薬学や医学までがその範疇に含まれます。また、半導体産業、電子部品産業、化学産業、医薬産業、などの幅広い産業で結晶成長学が利用されていることも、皆様よくご存知の通りです。日本結晶成長学会はこれらの多分野にわたる極めて多様な人々が一堂に集うことができる、国内では唯一の学会です。この幅広い多様性を存分に活用して、結晶成長の学理を貪欲に理解し確固とした基礎に基づく学問に発展させること、および環境とエネルギーの問題や文化的な生活の享受など様々な現代社会の要請に応えて社会に貢献してゆくこと、この二つが日本結晶成長学会の使命であると考えます。これらの使命を実現するためには、極めて多様な人々が互いのバックグラウンドを尊重しながらも、活発な議論を楽しんで繰り広げることができる魅力的な場を、本学会が提供し続けられることが重要です。そのための中長期的な視点での学会が今後とるべき戦略を、ぜひ皆様と共に考えてゆきたいと考えております。
本学会が健全に発展するためには、その財政が健全であることが極めて重要です。古川会長時代の学会誌の電子ジャーナル化や、柿本会長時代からの株式会社ポラリス・セクレタリーズ・オフィスへの学会事務局業務委託、その後の歴代会長の運営努力により、本学会の財政はかなり健全化してまいりましたが、まだ十分ではありません。学会財政のさらなる健全化には、結晶成長国内会議などのイベントで赤字を出さないことが重要です。参加費の値上げなどをお願いさせていただくこともあるかと思いますが、その際には何卒ご容赦いただけます様お願い申し上げます。
今後、日本結晶成長学会関連では、いくつかのイベントが計画されています。2025年8月3〜8日には中国の西安で、The 21th International Conference on Crystal Growth and Epitaxy (ICCGE-21)が開催されます。また、2025年11月11〜13日には金沢商工会議所会館(石川県)で、第54回結晶成長国内会議 (JCCG-54)が開催されます。さらに、2025年7月8日には博多で特別講演会が開催されます。会員の皆様におかれましてはぜひ積極的にご参加いただき、活発な討論をしていただける様お願いいたします。また結晶成長討論会は、コロナウイルス蔓延のため数年にわたって中止されましたが、昨年復活して北海道・登別で行われました。今年度以降も鋭意盛り立てて行ければと思います。さらに結晶成長基礎セミナーは、コロナ禍期間はオンライン開催で好評を博しましたが、今年度以降もハイブリッド開催などの方式でビギナーの方に結晶成長学を学んでいただくための重要な機会を提供してゆく予定です。
今後、学会発展のために会長として微力ではありますが尽力させていただければと思います。どうか会員の皆様から忌憚のないご意見やご提言をいただけます様お願い申し上げます。